ゲームをクリアする手前で辞めてしまうラストダンジョン症候群とは
ゲームを途中で諦めたり、飽きたりするのを積みゲーと言われていますが、
[ラストダンジョン症候群](またの名をラスボス前症候群)はRPGゲームのラストダンジョンやラスボスの手前など、
後少しだけクリア出来る状態まで行ったのにもかかわらず、クリアせずに放置してしまう状態です。
主にRPGゲームの経験が豊富な大人にこの症状が現れやすいと言われています。
ラストダンジョン症候群は「楽しかった世界を終わらせたくない」という理由で陥ることが多い
子供の頃に好きだったゲームをクリアして「ゲーム内の世界が終わってしまった感」を経験してしまうと、
次に夢中になったゲームは、世界を終わらせないためにもラストダンジョン症候群に陥りやすくなってしまいます。
ストーリーを終わらせると自分の好きなキャラクターの新たな一面も見えなくなり、話しかけても同じセリフだけ…割と切ないです。
ラスダン症候群は日本人特有の症状で、ゲームの世界観が魅力的だと、その世界に長く浸るために意図的にゲームを放置して温存を図るのだそう。
この研究ではゲーマーをロジェ・カイヨワの「遊びと人間」から2種類に分類します。ひとつはルドゥサーと呼ばれ、「ゲームによって与えられたルールに従った勝利や課題達成を重視し、競技的にゲームを捉える」タイプのゲーマーです。
もうひとつは、パイディアンと呼ばれる「与えられたルールに縛られず自由にルールを創発し、勝利や課題達成より楽しさや自己目標の達成を重視して、遊戯的にゲームを捉える」タイプのゲーマー。
海外のゲーマーの大多数がルドゥサーに分類されるのに対し、日本人ゲーマーは例外的にパイディアンが半数近くを占めているとされます。
そして、「ラスボス直前でゲームを放置する」のはパイディアン的な振る舞いであり、その根源には武道や芸道にも似た日本独自の「ゲーム道」と呼べるマインドがあるとのこと。研究ではこの行為を「Intentional Stay:温存」と呼んでいます。
研究では「温存」はプレイヤー自身が、ゲームシナリオを最後まで進めずにゲーム世界に留まり、プレイするよりも強いゲーム体験を得るために行うとされており、定量調査では13.88%が経験したことがあるとのこと。
筆者らは「世界観が魅力的なRPGでゲームに没頭している場合、シナリオをクリアしてしまうとゲーム世界との関わりが失われるため、意図的にゲームプレイを中断していた」と指摘しています。
また日本人に対しての「最も好きな・印象に残ったゲームは何か?」の量的調査ではロールプレイングが40.5%、アクションが34.1%となり、理由としては「世界観」「ストーリー」「完成度」が上位に。これは「日本では競技性よりナラティブ要素が好まれる」ためとのこと。
つまり日本人の中ではゲームを単にルールに基づいた勝つための競技ではなく、その世界に浸って自由に面白さを見つけて遊ぶためのものだと考えている人が多いことになります。
「ラスボス直前でゲームを放置する」症候群、武道や芸道に通じる日本人特有の現象でした より
ラスダン症候群はRPGだけではなく、アニメや漫画、小説などストーリーものを最終回手前で見るのをやめたり、
自分が楽しさを見出せるもの全てに対して終わりの直前で手を止めたりするなど、様々な場面で現れることもあり、
別名「もったいない症候群」とも言われています。
【ラスダン症候群】終わりが見えた時点で辞めてしまうことも
ある程度RPGゲームのタイトルをプレイして経験を重ねてくると、
その過去の経験上から「このボスを倒した後、次の次当たりがラストダンジョンで…ストーリ―はこんな感じだろう」みたいなのが 薄々見えてくることもあります。
昔からのベタなゲームほど 「勝手に予測してゲームを脳内で終わらせて、実際のゲームはクリアせずに放置」みたいなパターンもあると思います。
ラスボス直前でゲームを終わらせずに放置するのは後に呪いとして残るかもしれない
ゲームをクリア直前まで進めたのに、あえて放置してしまっていると、
「あのボスいつか倒さなきゃな…」「あのゲームそろそろクリアするか…」と
何かこなさなければいけないタスクが残っているような呪いにかかります。
ゲームの世界観が好きで終わってしまうのが嫌だとしても、そのゲームから良い意味でも悪い意味でも解放されるために、時にはクリアして終わらせることも大事だと思います。
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