漫画[宝石の国]には鬱展開であると耳にしていて気になっていた作品で、
これはいけないと思い、1話~95話(2020年末で休載したところ)まで一気読みをしました。
【宝石の国序盤】読解力が無いせいか、序盤は意味がわからない所があって読み返したりしていた
自分は雰囲気で読める漫画(異世界漫画やギャグ漫画)を貪っていたことが多かったため(特に最近)、
集中して読む必要がある[宝石の国]の世界観に入るまでかなり話数がかかりました。
前情報は[登場人物が宝石で出来ている]事以外はわからず、
1話では宝石人間と謎の釈迦地蔵がいきなり戦いだし(釈迦地蔵は後に月人という敵だと判明)、
宝石人間達も主要キャラ以外はほとんど見分けがつきませんでした。(作者には申し訳ない)
(美男美女ばかりの作品あるあるなのですが、皆同じような顔をしているため服と髪の毛を見て見分けるしかないんですよね)
【宝石の国中盤~】フォスの身体の部位がどんどん別の宝石に成り代わっていく
主人公のフォスフォフィライト(通称:フォス)は硬度3半と低く割れやすい体質だったため
トラブルメーカーのフォスが作中で何かを起こす度に身体の部位を失ってしまいます。
宝石人間の身体の部位は欠損したとしても 手元に自身の破片があれば修復可能ですが、
自分の欠片を無くしてしまったフォスの場合は
他の物質で補完できる特異体質を持っており、合金やアゲートなどで部位を補完していました。
フォスの欠損と部位補完歴
- 両足に[アゲートと貝殻]
- 両腕に[白金と金の合金]
- 頭部に[ラピス・ラズリの頭]
フォスは自身の部位を失う度に記憶を失ってしまいますが、
ラピスの頭を接合された時点でフォスの比率は半分以下となって原型が無くなっていきます。
更にはラピスの頭部を取り入れた時には、フォスの言動が変わり他の宝石から心配されることになり
読んでいて少し不安に… 他の読者も「ほんまこいつ誰やねん」ってなっているはず
最序盤のフォスは作中最弱ポジションだったものの
自身の身体を他の物質を取り入れる事で、戦闘力も上がり成長していくかと思いきや
結局は周りを巻き込んで1年で月人に宝石を2人もさらわれる始末。
やらかすフォスに誰も責める事は無く 周りの優しさが痛かったので、
もうフォスには大人しくしといてくれと思っていましたが彼(?)は止まりませんでした
【宝石の国ネタバレ】月人や先生の正体が明らかに
月人の正体を知るためにやられたふりをして月に行ったフォスは
そこで月人と宝石たちの先生の正体を知ります。
月人は月では普通に話すことが出来、文明もかなり発達している存在です。
月人は人間の魂のような物で、彼らの目的は祈りによって無に帰ることでした。
宝石たちの先生は元々、金剛という「祈る機能」で月人を無に帰す機械でしたが、
ある日を境に金剛は祈ることを止めたので、月人は金剛を揺さぶるために宝石を奪いに来ていたのでした。(ちなみに奪った宝石は粉にしており、硬度5以上なら修復可能だった)
月人達は金剛の祈らせて無になるために、かなり前から「金剛お祈り作戦」が遂行されていました。
それを知ったとてっも賢いフォスが月人との争いに終止符を打つため「金剛お祈り作戦」に協力します。
フォスが復讐に走るようになり、目的も支離滅裂に
フォスがなんとか金剛先生を祈らせるために色々揺さぶる作戦を試します。
- フォスが宝石達を月に連れていく
- フォスが金剛先生に話し合いで直接祈るように頼む
フォスが2回目に地上に降り立ち 金剛先生と話し合いをしようとした際には
前回、宝石達を月に連れて行ったこともあり フォスは金剛先生に会えず宝石達にバラバラにされてしまいます。
金剛先生は宝石達がフォスの事を忘れる事を待ち、212年後にフォスを修復しますが
その時のフォスは金剛先生に明らかに憎悪を抱いており、無理やり祈らさせようとします。
「ここで祈りが成功し月人は浄化して第2部、または終わりだろう」と思いきや
またも他の宝石によってフォスは阻止されてしまいます。(お前らのためにやってんのにどうして…)
次の作戦は「宝石が邪魔で祈らせられないから宝石全部粉にしてから挑もう」というフォスは無茶苦茶な事を言ってしまいます。(全て終わらせた後に全員治すとも言っていますが)
もう一体なんのために金剛先生を祈らそうとしているのか…
フォスが金剛先生の代わりを担う存在に
フォスは戦力を率いて再び地上へ向かい、邪魔をする宝石達を再起不能にしてから金剛先生と再開します。
フォスが金剛先生に対して「(祈れないなら)壊れろ!」と発言したせいか、
金剛先生は自分の仕事を引き継いでもらおうと思わんばかりにフォスに右目を渡し崩れてしまいました。
フォスは「初めから自分を祈らせる存在になるために…」と察します。
月の指導者、エクメアことエンマは金剛と昔からの知り合いで
エンマは金剛を祈りから解放するために、大分前からフォスを躍らせていたそうです。
金剛の力を受け取ったフォスですが、力を使えるようになるには1万年もかかり、
その間、フォスは地上で一人過ごし、月人や復元された宝石(開発した技術で後に月人になる)は月で快適に過ごします。
【宝石の国】フォスの人生が地獄すぎる 流石にかわいそうだろ…
フォスは生まれてから300年間、誰の役にも立つ事が出来ませんでしたが、
月人の関与で中途半端に有能になったことでようやく仲間の役に立てるようになり、
フォスは先生や宝石達のために奮闘していますが、ほとんどが迷惑をかける形で空回りに終わってしまいます。
読み手によっては「自業自得だから一回フォスに痛い目に遭ってくれんかな」とも思うかもしれませんが
「まずは地上で一人で一万年過ごさせて、その後も一人or祈らされ続ける」という展開は流石にかわいそすぎて軽く病みました。
フォスが宝石のたちのために犠牲になることで、
かつて仲間だった宝石たちも月人となり救われる形になりましたが
その後 ほとんどの宝石がフォスのことを気にかけてくれないのは特に救いが無いんですよね。
作中、いつの間にかフォスだけが大きな責任を負っており、
金剛を祈らせるために奮闘してバラバラにされたフォスが復活するまでの212年間、
月にいた他の宝石達は何もやってないのは抗議をしたいです。
なんか金剛先生と宝石達に裏切られた気分なんですよね。
正直フォスを救わない彼らに成仏してもらいたないです。良い奴に成仏してもらいたいです
これには[怒りのフォス祈り拒否 月人を成仏させないエンド]か、フォスが救われる展開に期待したいところですが、
春子先生はここからもっとフォスをいじめる気があるかもしれません。
【宝石の国】終盤のぶっ飛んだ展開はある作品を彷彿とさせる【人生について考えさせられる漫画】
作中、月人の正体が判明した時点で「進撃の巨人」を頭に過らせた人が多いと思いますが
特にフォスが地上で1人 1万年過ごすとなった展開は
[火の鳥 未来編]や[ファイヤパンチのラスト]を彷彿とさせます。
どちらの作品も、主人公が長い間 苦しみに耐えたり、トンデモ展開で何万年も一人で過ごす展開になっていて宝石の国の終盤に若干似ています。
宝石の国の月人は「死ぬこと」を目指しており、我々人間が逆になんで生きているについて気づかされる作品ですが、
ファイアパンチの主人公の[アグニ]も「不死の身体ながら燃え続けてる痛みに耐えながら生き続ける」様は
ブッダが説いた「人生は苦である」という考え方を極端に表してるものだと考えることも出来るので、
どちらの作品も「人生の縮図」だと感じる人もいるはずです。